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エッセイ

So What's New? Final Edition
〜はっちゃんが行く〜

著者 / 橋本正博
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:336ページ(カラー+モノクロ)
発行日:2009年11月27日
価格:1600円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-23-2
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遺稿集
濱さん作品集


内容紹介(一部)
「ハシモト・モデル」誕生

TMDケーブルにハマッているボクが、ついに畑野さんに頼んで「アンプ」を創ってもらった。プリメイン・アンプ(インテグレーティッド・アンプ)である。ボクはマッキンやアンプジラのアンプを既に数台持っているが、これを「オーデイオ・ライフ最後のアンプ」としよう! TMDのメインのビジネス・ラインはケーブルであり、アンプを量産する計画はない。配線の1本ずつの接続もすべて手作業なので、設計もパーツも全部揃っていても月1台以上の生産はムリであろう。試作品の場合には当然もっと時間が掛かる。

アンプとはご存知のようにCDプレイヤーなどの音声信号を増幅(アンプリファイ)してスピーカーに流す増幅器である。アンプのことを「ストレート・ワイヤ・ウィズ・ゲイン」という英語表現があるが、TMDのアンプには正にこの表現がピッタリする。TMDのアンプ製作の歴史はもう20年近いが、最近のものでは「テラシマ・モデル」が有名である。これはボクの師匠のTさんが畑野さんに頼んで創ってもらったもの。シャーシからしてユニークでカッコいい。ボクもこういうアンプが持ちたいなあと思っていたところ、畑野さんから「オール空中直線抵抗の可変ゲイン」(何か凄そう!)による「音質追求型」アンプを作ろうとしているとのお話を聞き、早速、「ボク好みのテイスト」で調整してもらった「ハシモト・モデル」を創ってもらうことに。シャーシはTモデルとまったく同じもの。

待つこと100日くらい。遂に「七夕の日」の翌日にボクの山荘に納入された! ボクの好きな音とは「コクがあるのにキレがある」といった類のものなので創るのも難しかったはずだ。もちろん、畑野さんは「ヒミツの新製品の開発」などにも取り組まれているのでボクのアンプだけを毎日作っていた訳ではない。彼は多忙なのに向島から愛車のアヴァンタイムで奥さまと一緒に届けてくれた。ありがたし! このアンプの凄いところは「音質にプラスにならないもの」は徹底的に排除したこと。だから極めてシンプルである。シンプル・イズ・ザ・ベスト! インプット・セレクターなし。出力も一系統のみ。一台のCDプレイヤーしか使わないし、スピーカーも一組だからこれで十分。スピーカーのバイ・ワイヤ接続もやろうと思えば問題なく出来る。通常のボリュームも付いていない。ではどうやって音量調節をやるのか。それは「空中直線抵抗による可変ゲイン」でやるのである。ノイズ・フロアのレベルがフツーのアンプとは桁違い! アンプにはこれまたユニークな「でかっリモコン」が付くのだが、ボクには必要ないのでリモコンの端子のみ付けてもらった。

畑野さんは巷間「自作派のバイブル」と言われている、「土日で作るオリジナル・エフェクター」の著者である。今年は数年ぶりで「パート2」が出た。読ませてもらったが、図面も多用されていて素人にも分かりやすい。読んでいるだけでも十分面白い。自作派のためになるコラムも満載。たとえば、抵抗値をカラーのオビで識別するとか。50年前には抵抗にカラーのオビなどなかったような気もする。実体配線図などを見ていると小学校時代のラジオ製作のことを思い出す。ハンダのヤニの溶ける臭いとか電源トランスを触っていたらブルブルっと来たことなど。彼はオーデイオ・ケーブルの製作と同様、エフェクターのパーツや配線材にもこだわっている。その彼が「音質重視」と強調して作ってくれたアンプだから「音はいい」に決まっている!

So What's New? Final Edition 本文写真1
ハシモトモデル内部

製作中のアンプの内部写真も送って頂いた・・・6個の大きな円筒形のコンデンサーが見える。電源トランスも見える。かなり複雑な空中配線も始まっている。最終段階で肝である「可変ゲイン」の合計46本の極細配線材を、音質にこだわって納得の行くワイヤに「全取っ替え」したりして大変だったようだ。特にこの部分はすでにハンダ付けされていたので。もちろん、音質重視のハンダが使われている。このアンプは詳細設計から始まり、シャーシの製作、パーツや配線材の吟味、シャーシへのパーツの取り付けと配線などすべて「オーデイオ・エンジニアの達人」の手造りである。彼の精魂がギッシリ詰まっているので音を聴くのがちと怖いが聴いてみる。

So What's New? Final Edition 本文写真2
ハシモトモデル

音を聴く前にこのアンプの奥行き60センチの大きさにまず圧倒される! 凄い存在感である。3キロはあろうかという分厚いユニークなフロント・パネルもカッコいい! 天板を取り外して内部を覗いてみる。これがまた圧巻! 写真を見て想像していたよりはるかに巨大なWEやビンテージのコンデンサー群と電源トランス、プリとパワー別仕立てのジャケット付き電源ケーブル、複雑な空中配線とハンダ付けではない圧着端子による接続、「空中直線抵抗群」が内蔵されているベーク板の上に置かれた太いフクザツ系金属ケーブル2本(これは置いてあるだけなので、2本を接触させると音がモノラルになる!)、「可変ゲイン」の極細線46本による配線・・・。背面にはプレイヤーからのケーブルを差し込む端子とプリとパワーを接続するケーブル端子、それに大きなスピーカー・ケーブルの接続端子がある。そして、プリとパワー用に2個の電源ケーブル差込口がある。これらのケーブル群はもちろんすべてTMDケーブルで固める!

そして、いよいよ音出し。スピーカーはJBLのS4600。35センチ・ウーファー+ 中高域ホーン・システム。奥行きが30センチしかないコンパクト機。出たあぁ! ! 以前のマッキンの真空管アンプとはかなり違う音が。「まだまだこんなものではありません。1時間くらいエージングをやるともっと研ぎ澄まされた音になります」と畑野さん。そして、ビックリしたのは音質の最終調整。何ヶ所かの抵抗値を変えると、「音のキャラクター」が面白いように変る。ここを変えるとベースが、ここがピアノで、ここがハイハット・シンバルという具合。ボクは聴く音聴く音すべてが素晴らしいので、「どっちが好きですか」と訊かれても即答ができない! 結局、音の厚みやコクの要素はオリジナルのままで、「音の立ち上がり」を少し強めてもらった。音にキレが出るのである。このケーブルが「ジャズ・フレイバー」を出しているのですが、外してみますかと言われ、それは困りますと答えた。大きな収穫は「達人の手作業の一端」を目前で見ることが出来たこと。小さな抵抗器を2個換えてもらったが、まるで外科手術のようである。ボクが助手を務めた。1時間後にはJBLのスピーカーがまったくの別物になっていた!

その日の深夜、皆が寝静まったあと一人でジックリ聴いてみた。暗い照明の中、フロント・パネルのグリーンとレッドのプリ&パワーのスイッチとブルーのプリのパイロット・ランプが美しい。ECMレーベルのシンプル・アコースティック・トリオのCDを中音量で聴いた。深夜に聴くには打ってつけのピアノ・トリオである。そして、ボクの望む「コクがあるのにキレがあり鮮明で深みのある音」が実現されていることを実感した。深く沈み込んだベースの音も透明感溢れるピアノの音も鮮明である。そして、冴え冴えとしたシンバルの心地よい響き。各楽器の音の定位と奥行き感も素晴らしい。この快感こそ趣味のオーデイオの醍醐味であろう。あるとき、どんなにいい音だと思ってもいずれその音には飽きてしまい、また別のもっといい音を聴きたくなるというのがオーデイオ・マニアの習性であるが、不思議なことにボクはTMDの音には未だ飽きたことがない。これは凄いことだと自分でも思っている。ボク好みの音で「TMDの音を凌駕する音」は多分存在しないのであろう。

P.S. このアンプの最終的な音作りは前日の7月7日、Tさん宅で行われたらしい。彼もこのアンプの音が気に入って自分のと取り替えたいと言ったとか!?

P.S.S. 現在の山荘のセット・アップは以下の通り。
CDプレイヤー(メトロノームCD3)→セラフィム→プリ→アムリタ・ジャズ
→パワー→エレクトラム(+エルド・ジャンパー)→JBL S4600
電源ケーブル:CDプレイヤー→AC-CD
プリ→+−別ジャケの特殊ケーブル(日本に3本!)
パワー→特殊ケーブル(日本に2本!)

TMD
http://www.tmdjapan.com
Toyaの自作エフェクター・ブログ
http://www.rittor-music.co.jp/jisaku/blog/jisaku/