解説
本編は地震学者・今村明恒(一八七○〜一九四八)の
未発表の遺稿四編と遺言状を収録したものである。
これら遺稿は本人が発表を前提に起草したかは定かでない。
寧ろその様な事は念頭に無かったであろう。
それにも拘わらずこの度出版を試みた理由は、
将来この人物を研究する者にとって
本編が貴重な史料になると信じたからである。
本人の学問的業績は既に発表された論文や
著作から窺い知ることができるが、
その人物の人となりや考え方は
本人を直接知る人々が時とともに消え去る以上、
何か書き遺された文章などから判断する他はない。
その意味で本編が研究者や読者にとって
当人の人物像を思い描く上で参考になればと希い、
ここに編纂した。
(以下略)