人は、何時か必ず一人になります。残された後の孤独の人生を、どのように過ごしたら良いのかと迷います。そして、人生には限りがあります。
瀬戸内寂聴さんは、おばあさんの死に方について、
「おじいさんを見送って、二、三年、ゆっくり人生を楽しんで逝きなさい」
と語っています。
また、橋田壽賀子さんは、「ひとりが、いちばん!」という著書の中で、
「自由を与えられたと思いなさい」
と書いています。
老後の生き方のヒントとなるこうした言葉に触れて、私は、主人亡き後の人生を自由気ままに生きてみようと思うようになりました。そして、私の京都の一人旅が始まったのです。以来、神社、仏閣、今日の町中など、私は数多くの場所を楽しく訪ね歩くようになりました。四季折々、訪ねる度に様々な表情を見せてくれる古都京都。私は、京都の魅力にすっかり心を奪われました。
ところが、悲しいかな。どんなに美しい建物も風景も、時間が経つに連れて記憶の中から消え去ってしまいます。
「京都を歩いた自分の足跡を心の中に留めておきたい」
何時の頃からか、私はそんな思いを抱くようになり、旅行記としてまとめることにしたのです。これは、私が楽しかった一人旅を忘れないために綴った思い出日記の一部です。
大好きな京都を巡り歩いた喜びと感動を胸に、私はこれからも余生を過ごして行きたいと思っています。