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自分史

思いは遙か 信濃の青い空
おじいちゃまの子供の頃

文・画 / 依田善友
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:64ページ
(カラー+モノクロ)
発行日:2008年5月吉日
内容紹介(一部)
鴨を捕まえる
依田様 画像

十一月の寒い日の午後だった。学校の帰りに、皆と一緒に上の池の土手を歩いていると、池の中に一羽の鴨がいた。誰となしに、鴨をめがけて石を投げ出した。その中の一つが鴨に命中した。鴨は動かなくなった。鴨は波に揺られて、だんだん池の真ん中の方へ動き出した。誰かが、「藁わらに火をつけて流したらどうなるだろうか」といい出した。そこで、藁に火をつけて池に投げてみると、藁は風に流されて鴨の方に近づいた。すると、鴨はその藁の上に乗ったのだ。藁の火はもう消えていた。
 鴨は藁に乗ったまま、反対の岸の方に流されていく。皆で鴨の流されていく方に行き、待った。小一時間もすると、鴨は反対側の土手に近づいた。「誰か泳いで捕まえろ」という声がしたが、寒いので誰も行かなかった。私は、「よし、俺が行く」と服を脱ぎ、池に飛び込んだ。水の冷たさは余り感じなかった。十二、三メートル泳ぎ、やっと鴨を捕まえた。そばで見ると、とても大きかった。鶏くらいあるように思えた。
 家に帰り「鴨を捕まえてきた」と差し出すと、皆ビックリしていた。「どうやって獲ったんだ」と尋ねるので、「池に入って獲ったんだ」と一部始終を話すと、皆あっけに取られていた。その夜、父が鴨をしめて鴨鍋を食べた。とても美味しかったことは、いうまでもない。