私は、七年前肺炎で入院した。
その時、私は七十六歳だったが、それぐらいの年齢になると
肺炎でそのまま亡くなることも珍しくない。
私は、入院中何度もこれまでの七十年余りの人生を振り返ってみたが、
自分が生きてきた証として、
是非とも書き残しておかねばと強く思うようになった。
とりわけ、過酷な戦中戦後のことについて、
あの頃を知る者が少なくなった今はその思いは強い。
幸い、十日余りで退院することが出来たので、
少しずつ書き溜めたのが本文である。
取り敢えず、物心がついた頃から二十歳くらいまでの時期について書いたが、
あの頃の出来事は六十年以上経った今も強烈に記憶に残っている。
書いてあること自体は日常の何気ない出来事や思い出が中心だが、
それでも当時の暮らしぶりや、
戦中戦後の過酷な時代の一端を理解してもらえるのではないかと思う。