私が、いつか自分史を書こうと思い始めたのは、
一九七四年、四十歳のころである。
三十九歳で二児ある男性と再婚して、いきなり母親になった。
毎日がこれまで経験したことのない、珍しいことばかりである。
西も東も分からない母親一年生である。
そんな私に子どもたち(中学二年生の娘・小学六年生の息子)が、
「お母さん、お母さん」と言ってなついてくれる。
そのときの喜びを何かの形で残しておきたい。
また家庭生活の中で精神的、あるいは経済的に苦しみを受けたとき、
めげずにそれを乗り切るための自分との闘いがあった。
その道程を書いておきたい気持ちから決心がついた。
これが自分史を書く、そもそものきっかけである。
どうせ書くなら、自分の誕生のころから書き始めるべきだと思った。
といっても、私には文章など書けるはずはないのである。
先ずNHK学園の通信制文章講座を受講して、基礎から四年間学んだ。
そのあと民間の会社で発行している投稿誌「わいふ」に投稿しながら書いてきた。
そして、二〇〇五年の正月から、念願の自分史を書き始めたのである。
一年で書き上げようと思って始めたが、なかなか筆が進まず、
四苦八苦しながら、来る年の初めには書き上げたいと頑張ってきた。
ようやく今、二〇〇六年正月に完成をみたのである。