有漏路の旅
会社を退いて、早や五年が経とうとしている。
最初の頃は戸惑いもあったが、
時間の過ごし方もマイペースで出来る様になって来た。
とにかく自由であることが素晴らしい。
自由であることと、隣り合わせなのが、
“退屈と暇”との付き合い方だ。
年ごとの春、夏、秋、冬それぞれの過ごし方も、
自分なりに分かって来た。
朝起きて、寝るまでのペースも、
誰に迷惑をかけることもなく過ごしている。
困ることが全くないかというと、
そんなこともないが、どうにかなっている。
これも生活の知恵か。
庭の手入れ。畑仕事。早朝の音楽。
寝る前の読書。どれも楽しい。
偶に来る初孫の来宅は、殊の他に楽しく、生命の洗濯の時間だ。
我侭で、マイペースで振り回されているが、それも受け入れて楽しい。
別れ際には泣き出したい心境だ。
車で一時間程の所に住む娘は、
何かと理由をつけて遊びに来てくれる。
(以下略)