人の世は、良きことも悪しきことも『無常』だ、というのが私の考えだ。
この世に存在する、ありとあらゆるものに『常』はない。
良いことがあれば悪いことがあり、悪いことがあれば良いことがある。
良いこと悪いことが永遠に続くということは決してない。
一時にまとめて押し寄せる災難も、ひとつずつ解決していけば何ほどのこともない。
事故から四年になるかならない頃から、
ものごとが少しずつ好転するようになってきた。
健康が回復してくるのと軌を合わせるかのように。
私の好きな言葉に、
「冬来たりなば春遠からじ」
というのがある。
永いながい冬だった。
受傷から四年近く続いていたような気がする。
心も身体も冷え切って、ただただ辛いだけの冬だった。
しかし冬になったからには、必ず春が廻ってくるはずだ。
そして春の兆しは着実に見えてきた。
来るという確信があったからこそ、厳しい冬を乗り切ることが出来たのだろう。