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自分史

回顧〜
郷土を愛し、農に生きて

著 / 岡封q比古
サイズ:B5
製本:ハードカバー
ページ数:122ページ
発行日:2012年8月5日
内容紹介(はじめに)
はじめに

わが家は代々農家であり、私はその七代目。
河北町谷地弥勒寺に長男として生まれ、
何の抵抗もなく家業を継ぐべく育てられた。
小学校六年の時、「中学校に進学させては」との話もあったらしいが、
親父は「百姓に学問は要らぬ、農学校で十分」と言って、
他に聞く耳を持たなかった。

学歴社会の今では考えられない。実に頑迷、単純な考え方であった。

さて、本家、嘉兵衛の入村は定かでないが、
何でも室町時代に相模から流れて来たらしい。
近在切っての羽振りで、永年谷地の名主を務めていたが、
度重なる火災などで家産が傾き、
明治の初期に自然とわが家が本家に代わって、
村の中心的役割を果たす事になった由。
親父時代は完全に村長的立場になり、
いつともなく私も親父の後釜に据えられるべく育てられた。
せめて農学校だけはと思っての事だったのだろう。

昭和十六年四月、農学校に入学はしたものの、
十二月に大東亜戦争に突入し日本は戦時一色となる。
学校では教科書を買わせられただけで、授業などはなく、連日農業実習。
やれ田植えだ、稲刈りだと勤労奉仕に明け暮れる学生時代であった。
まるで卒業証書取得と、
軍隊に入った時の幹部候補生になるためだけの学校であって、
勉学どころではなかったのである。

二男、三男坊以下は、就職のためにそれなりの勉強が必要だったが、
長男に生まれた者は、どこの家でも家事(農業)さえ出来れば良しとして、
学問には身が入らなかったことも事実である。

社会に出て初めて、「あれで学校を出たのか」との厳しい目に遭い、
恥をかいてはあの時分にしっかり勉強をしておくべきだったと後悔している。
当時、親父は応召しており、十人の子供の養育を一手に任された母の苦労を見ては、
一刻も早く家事手伝いをせねばとの思いもあって勉強が疎かになった、
と言えば言い訳になろうか。

(以下略)