自費出版の会なら10冊89800円から。編集のプロがしっかりサポートするので安心です。

自費出版
自費出版の会にお気軽にお電話ください。 自費出版の会の編集者が直接、あなたのご質問にお応えします。
自費出版の会 TEL.03-5919-3888 受付時間 10:00〜18:00 土日祝日は除く 自費出版に関するご相談・資料請求はこちらからお願いします。
刊行案内(一部抜粋)
お客様インタビュー
自費出版の会について
自費出版メニュー

刊行案内

自分史

時の流れの中で〜私の中にある七つの心〜

著 / 村田広紀
サイズ:四六判
製本:ハードカバー
ページ数:214ページ、モノクロ
発行日:2012年4月29日
内容紹介(一部)
恵信養護老人ホームにて

「おばあちゃん、調子はどう?眠れる?」

「調子はいいわよ。よく眠れてよく食べられるわよ。
あなたには迷惑かけてない?」

「だいじょうぶ。心配いらないよ」

数年前、母と私との会話はいつもこのようにして始まった。

平成二十二年三月二十九日、母は九十六歳でこの世を去った。
九十二歳の夏に突然高熱を出して救急車で入院し、
一時意識が混沌とする状況にあったのだが、
その後養護老人ホームにお世話になり年々回復していった。
同居していた私たち家族の顔がわかり、会話ができるまでになった。

ホームを訪れる家族と穏やかに過ごして旅立っていったことは、
本当によかったのではないかと思っている。「大往生」ともいうべき最期だった。

私は今でも、冒頭の会話から始まるひとときをよく思い出す。
時間がゆっくりと流れているようだった。

私の仕事がうまくいっているかと案じ、
孫の名前もちゃんと覚えていて元気かと問い、
「だいじょうぶだよ」と答えるとにっこりと笑う。

さらに、決まってこんなやり取りがあった。

「私は何歳になったの?」

「九十五歳だよ」

「ええっ、私はまだ六十歳くらいかと思っているよ」

ここで、私はいつも返答に窮するのだった。母はまた

「一日一日が早く過ぎてしまって、時間は止まってくれないのかしらねえ」
ともいった。

(以下略)