まえがき
二〇一一年九月八日、八十二歳の誕生日。
「そうだ。自分史を書こう!」と思い立った。
一九二九年、世界大恐慌の年に生まれ、戦争に翻弄された時代。
戦後の民主主義創成の時代。
子ども、障害児、学生と共に泣き笑いした時代。
そして少子高齢化時代の老人になった今・・・。
講演でも講義でも、“永野節(ブシ)”と言われた話し上手。
必ず三回は笑わせようと思って、理論的学問的な話でも、
障害に関する深刻な話でも、ユーモアを忘れなかった。
しかし、文章を書くのは苦手で、
依頼された原稿でも〆切りに間に合わない事が多かった。
共著は何冊かあるが、個人の出版物はない。
「一日一話、八百字前後で見開き二ページの小話を、
毎日書き留めてみよう」
十二月までに百の話を書き上げたら、自費出版に依頼し、
生まれて初めて、個人の出版物を作ってみよう。
(以下略)