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旅行記

それでも恋するグアテマラ
ダンディ中年不良オヤジ、山賊に襲われる!

著 / 上川内嘉久丸
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:192ページ
発行日:2010年6月24日
価格:1,500円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-38-6
販売終了しました。
まえがき

63ヶ国という、世界のさまざまな国を旅して来ると、10年に一度くらいの周期で、命に関わる大きなトラブルに巡り会う。それがトラウマとなり、長く脳内に記憶され、その後の旅に大きな影響を与える。

20年前のカサブランカ(モロッコ)でチンピラと争って、ナイフで胸に傷を受けてからは、二度とアフリカの地を踏むことはなかった。映画「カサブランカ」で覚えた甘美な響きのあこがれは、霧散した。

10年前のランカウイ島(マレーシア)。ここでの、あわや溺死事件。泳ぐ気持ちなどなかったが、あまりにも綺麗な海だったので、ちょっと浮いたつもりが海流に流された。頭の上には現金とパスポートが入ったポシェット、両手にはビーチサンダルを持っての危機であった。ビーチに向けて遠泳をしたものの、力尽きて助けを呼んだ。それ以来海で泳ぐことをやめた。

そして、今回の山賊との遭遇事件である。
「山賊は突然、山から降ってきた。最初はタバコを欲しがる動作に見えた。それが『DINERO(金を出せ)』と分かった時には逃げ場がなかった。1人はポシェットを引きちぎろうとし、もう1人は山刀を振り上げ、退路を断つかのようにリュックを押さえた」

この事件は深刻なトラウマとなった。まず、その後、コスタリカでこの山刀で作業している村人にあった時に、まったく安全なのに心臓が止まりそうになり、足がすくんでしまった。それに、妙な夢を数多く見るようになった。いつも何かから追われて逃げる夢である。

これで、4年連続の中米の旅にピリオドを打つのか?
 あるいは「それでも恋するグアテマラ」と、
 5年連続、何事もなかったかのように、
 中米へ向かうのか?
 2010年の12月にはその結論が出る。

山賊との遭遇事件は4泊5日のアティトラン湖徒歩周遊の中で起こった。普通の観光で過ごしていれば起きない事故であった。しかし後悔はしていない。湖を歩いて一周することは長年の夢であったし、実現できて満足である。

旅が怖くなったのも事実。
 旅が面白くなってきたのも事実。

旅の47日を「体調不良」で過ごしたが、「病気して損した」だけの旅で終わらせたくはない。「懲りないオヤジ」の賢い旅は、これからも続く。