羊
竹馬を大地に立てて歩かんと土まみれ行くはだしの童
ひまわりのうなだれ咲ける柵の辺に薄着の羊青き陽に群れる
惜しみなき高原の陽をうけ丸太車は風の色分け緑を走る
ふるさとの母音の重き訛声潮騒のごと一日耳にあり
やりいかの盛りあがる綱の滴りを集魚燈てらす暗黒の海に
雨含むあじさいの群あお青とどの窓の灯も濡れ色うるむ
彼岸へと友の去りし日音もなく水吐く貝を厨に見つむ
菅笠が音符に見えし田植どき朝小昼はこぶ畦道光る
濃き淡き縮緬模様に海凪ぎて雲間よりの陽やわらかに光る
声高に小道を来たる若者は高原のあらき草の匂いす