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旅行記

冗句と写真で巡る世界遺産アチコチ新版

世界遺産100ケ所を旅した著者が、
旅先で感じた思いを冗句に。
新版で写真がすべてカラーに!
文・写真 / 車谷頼之
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:208ページ(オールカラー)
発行日:2010年4月1日
価格:1,200円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-39-3

車谷様は他にも書籍を作られています。


はじめに

最初から世界遺産踏破、あるいは何ヵ所達成するかが目的ではなかった。本来は古代遺跡、先人が残した文化遺産に興味があり、謎の遺跡と聞くと胸が騒いだ。
 プラトンが書き残した「アトランティス」、チャーチワードが言った「ムー大陸」、その時代には存在しなかったはずの物「オーパーツ(場違いな加工品)」の数々といった、超古代史やUFOなどのトンデモ本に興味があった。
 しかし、それらは超古代史の権威デニケンや、「神々の指紋」のグラハム・ハンコックにでもまかせておけばいいと悟り、現実的な文化遺産・遺跡探訪、特に地中海各地に点在するギリシャ・ローマ遺跡やマヤ・インカの世界遺産探訪を目指すことにした。

「謎尋ね  謎深まりて  謎解けず」

ある日ふと、それまでに行った世界遺産がいくつぐらいあるか数えてみた。国内七ヵ所を含め五十ヵ所弱であった。世界遺産は、一九七二年ユネスコの世界遺産条約により、人類の文化・地球の自然を国を越えて守ろうというもので、文化遺産・自然遺産・複合遺産に分かれている。十年前に五百数十ヵ所登録されていたものが、なんといまや八百五十ヵ所に増えている。そのうち地球上全部が世界遺産になるのではと心配になる。  毎年世界遺産指定が増えているため、黙っていても五十以上にはなりそうだと気付いた。ということは世界遺産百ヵ所巡りを目標にした場合、毎年一国五ヵ所で十年、何とか達成できるのではと、文化遺産を中心に格安ツアーを探しはじめることにした。
 まず準備として資料に目を通すことから始めた。ユネスコ創設五十周年、講談社創業九十周年記念出版「ユネスコ世界遺産」全十二巻を揃え、体制だけは整えた。勿論全部読めるわけはないが、ひとまず安心。何が安心か分からないが。
 今後行くところはどこであれ写真を整理する際に、キャプションとして五七五あるいは三十一文字を添える。ただしできるだけ行った先の地名、遺跡、遺物名を読み込み、語呂合わせ、駄洒落風にまとめることを自らのノルマとした。俳句でもなく、川柳でも和歌でもない、ジョークを入れた「冗句」「冗歌」である。
 まとめていくうちに、多少の駄文・戯文を添えたほうが前後の状況、背景も分かり、旅の雰囲気も伝わるのではと、改めてパソコンに向かい、文章も書き入れることにした。
 世界遺産の宝庫、イタリア・フランス・メキシコ等で数を稼ぎ、ついに九十六の世界遺産、残りは四ヵ所になった。ぴったり世界遺産四ヵ所を巡るツアーがあった、未知の国、南米「ペルー」。
 世界遺産の中でも行きたいところ人気ナンバーワンの「マチュピチュ」を含め、「リマ」「クスコ」「ナスカの地上絵」の四ヵ所で丁度世界遺産百ヵ所になる。
 百ヵ所到達を自ら祝い、「冗句で巡る世界遺産」としてまとめてみた。
 それぞれの旅ごとに独立性があり、完結している。ひとつでもクスッと笑ったり、うなずいてもらい、一緒に旅をした気分になってもらえれば幸いである。

「冗談と  駄洒落ばかりの  冗句集」

特に参考にはならないと思うが、念のため、訪れた世界遺産の一覧表を巻末に添付した。