自費出版の会なら10冊89800円から。編集のプロがしっかりサポートするので安心です。

自費出版
自費出版の会にお気軽にお電話ください。 自費出版の会の編集者が直接、あなたのご質問にお応えします。
自費出版の会 TEL.03-5919-3888 受付時間 10:00〜18:00 土日祝日は除く 自費出版に関するご相談・資料請求はこちらからお願いします。
刊行案内(一部抜粋)
お客様インタビュー
自費出版の会について
自費出版メニュー

刊行案内

闘病記

二本の木 夫婦がん日記

作者 / 小沢爽・千緒
サイズ:A5判
製本:ハードカバー
ページ数:177ページ
カラー+モノクロ
その後
二本の木 画像

妻とのお別れは、ごく身内の家族葬だった。身内以外では、妻の父も母もお世話になった関根神父さんを呼ぶつもりだったが、海外出張中でおいでいただけなかった。帰国後、関根さんからお悔やみの手紙をいただいたが、そこには期せずして、「ヨブ記を読み直しています」という言葉があった。
 妻の遺骨は私の元にある。私が死んだら、二人の遺灰をまぜまぜにして、自然葬にしてもらうことになっている。
 彼岸花の季節に亡くなった妻の親友も自然葬で、遺灰の一部は信州のリンゴの木の根元に撒いた。撒く時には、私たちも参列した。去年そのリンゴが成って、送られてきた。

(千緒日記 2007年2月25日)
  友はいまリンゴとなりて皮むけば 香り立つ中無言の対話

妻は、リンゴになるのもいいなぁ、と言っていた。遺灰を撒く候補地はいくつか子らにお願いしてある。

私の胃がんは頸のリンパに転移した。いろいろ考えたが、積極的に治療を目指して立ち向かうことを止めて、自然の推移にまかせることにした。今は、私も聖路加病院の緩和ケア科の患者となっている。現在はまだ外来である。
 妻を看取ることが出来、さらにこの記録をまとめることが出来た。運命は思ったよりも執行猶予の時間を与えてくれた。
 この作業のおかげで、私は以前に増して妻の優しさと強さを深く感じ取れるようになった。それが、私の残る日々を支えてくれるに違いない。

2007年秋
小沢 爽