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短歌集

ひとえだ

著 / 北村一枝
サイズ:A5判
製本:ソフトカバー
ページ数:190ページ(カラー+モノクロ混在)
発行日:平成25年10月26日
内容紹介(一部)

昭和五十一年十一月号

一、母の日の心づくしか俎板の窪みなほしてくれたる息子

二、年毎に祭礼むかふるしきたりに馴れて赤飯鯖ずしつくる

三、どしゃぶりの雨におもおも傾ける紅ばらは血の雫をたらす

四、文楽のあはれを誘う語りくち盲目の朝顔ひき又唄ふ

五、新緑の街路樹の下肩並べ振り袖姿の花と乱るる

昭和五十一年十二月号

一、気をつけてと常無口なる子の声に送られて夫と今朝の旅立

二、夕もやにかすむ淡路の島かげを茜にそめて陽の落ちゆく

三、夕もやに沈む阿讃の山並みの彼方はるけく母老いまさむ

四、湯けむりの黄色く染むる山肌に硫黄の花咲くえびの高原

五、みんなみの長崎鼻の陽をうけて激しく赤しハイビスカスの花

(以下略)