旅のはじめに
今から6年前、私は亜熱帯の島、石垣島と西表島へ生き物探しの旅に出かけました。真冬の羽田空港から3時間で石垣島に到着。私は一瞬にして生温かい空気に包み込まれました。
石垣島・西表島の町並み、人々の生活、コバルトブルーのサンゴ礁、奇妙な根をもつマングローブ、森のギランイヌビワ、ヒカゲヘゴ、クワズイモ、イシガケチョウ、リュウキュウイノシシなど、亜熱帯の動植物は私を異世界に導いてくれました。
この旅で強い印象を受けたものは、特殊な植物、マングローブでした。
石垣島や西表島をはじめ、沖縄や奄美大島など、琉球諸島のマングローブをぜひ自分の眼で観たい、そんな気持ちが日々大きく膨らんできました。
旅立ちの前にマングローブについてまとめてみました。
A.マングローブは、熱帯から亜熱帯の河口や湿地帯、沿岸部の干潟に生育し、潮汐によってある時間冠水される、湿地に生育する樹木群の総称。
B.大きな特徴は、陸上の植物が嫌う塩分を含む海水や汽水で育ち、マングローブの代表種ヒルギ科の植物は、特殊な根(支柱根・膝根・筍根・板根)と胎生種子を持つ。
C.日本のマングローブ種は以下の通り。
●純マングローブ(5種)
オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキ、ヒルギダマシ
●準マングローブ(4種)
ヒルギモドキ、シマシラキ、ニッパヤシ、サキシマスオウノキ
●従マングローブ(10種)
ミミモチシダ、オキナワキョウチクトウ、トウズルモドキ、サガリバナ、ゴバンノアシ、シイノキカズラ、ナンテンカズラ、ミズガンピ、サキシマハマボウ、オオハマボウ
●非マングローブ
クロヨナなど非マングローブは約100種以上
※マングローブの種類分けは、学者によって違いがあります。本書では、(マングローブ入門 中村武久・中須賀常雄)による階級区分に従っています。
次に、旅の目標と計画を立てました。
1.目標
琉球諸島、亜熱帯の島々にマングローブを訪ね、同時に森のたくさんの生き物と出会いたい。
2.目的地
西表島、小浜島、与那国島、石垣島、宮古島、
沖縄本島、南大東島、奄美大島
3.準備
カメラ(一眼レフカメラ・レンズ・充電器・メモリーカード・ストロボ)、ガイドブック、図鑑類、地図、資料、巻尺、温湿度計、懐中電灯、ヘッドランプ、薬、ノートと筆記用具、衣類、保険証、携帯電話、カードと現金、搭乗券など。
大きな期待と少しの不安を胸に秘め、南の島へ出発しました。