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刊行案内(一部抜粋)
お客様インタビュー
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刊行案内
内容紹介(一部)昭和五十五年 六十五歳の作品たんぽぽのわた散りはてし一本の茎を見て居り暮れなずむ野に ねぎらはる母の日辛し育てたる記憶はうすく育ちていたり 育てたる記憶は漸くかろうじて育ちていたり母の日つらし 娘の青春次々に終わりいと近き家妻同士のもの言いとなる こもるもの捨てる想いに歌つづるふき出づるごと雨の一日に 南風のひとたび吹かば芽吹かむと息ととのふる雑木々の森 背伸びして流るる雲にふれてをりケヤキのこずえ萌えたつところ 指先の小さき傷の癒えし朝春告ぐる風に身をまかせをり 夜空より降り来し星か花韮のしらじら浮かぶ草むらながむ 三寒のあとに続ける四温なく着ぶくれしまま待つ春遠き 陽に乾きまろくふくらむたんぽぽのわたの舞ひたつはつかの風に 紫陽花の重き花まり傾きてうす紫のしずくしたたらす そり返りそり返り五月の空を見るみどり児の目に藍のうつれり 青々とかすり模様に植えられし早苗ふるわせ夕風わたる 冷え冷えと迫る闇のひろごりに月下美人の花開きゆく 今宵かも月下美人の開かむを我に託して夫は旅たつ 折々は宙にとまどふ赤とんぼ草の穂たたく尾の光つつ 赤とんぼ宙にとどまり穂すすきをなびかす風のゆくえ見定む 呆々と過せし一夏に終止符を打たむすべにと秋の服裁つ 梅雨ふくむあじさいのまり重なりておもたくたわむ色ふかまりて きんかんの甘煮への匂いたちこむる厨に立てば母のおもほゆ 花の六十路と言えば子等皆わらいたり戦乱の世を生きのびし今 可愛想な母と子ら言う子ら孫よ健やかなれよ仕合わせなれよ 卆寿なる母は幼に帰れるかその又母をしきり恋ほしむ |