「想い出」の発刊に寄せて
この記録をもらったのはいつで誰からだったのか記憶は定かではない。
多分母から預かったのだと思うのだが。
いつか本にして皆に配ろうと思いつつ相当の年月が過ぎてしまった。
母が米寿を迎えることになり一念発起、
やっと本にして皆に届けられることができるようになった。
今日まで発刊が遅れてしまったが、
仕事や日常の生活に追われてのことと御理解を賜りたい。
さて、私達のルーツである
父・重三郎の半生が綴られた「想い出」であるが、
不思議なことに私はその多くを知っていたような気がする。
幼少の頃は体が弱く、試験の時発熱で受けられなかったとか、
見合いに行き「全身これ朱」と思ったこと。
そして母との結婚のいきさつ等々である。
これらは父から聞いた話というよりは、
母から伝え聞いていたように思う。
しかしそれらはほんの一部であり、
父が書いた記録から、いろいろなことを体験し、
生死がほんの紙一重であったことなど驚くべき内容である。
戦争の体験話を父から聞いた記憶はない。
おそらく辛く大変な思いをしたのであろうし、
あまり思い出したくもなかったのだろうと思われる。
テレビ番組で波乱万丈といった番組があったが、
父の人生はまさにそうであり、
今の私達にこのような記録が残せるだろうかと
考えてみるが答えはノーである。
(以下略)