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自分史

父・母・夫から聞いた話

著 / 山田みどり
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:44ページ
発行日:2012年7月14日
内容紹介(一部)
「はじめに」に代えて

私、八十歳。夫悦哉の七回忌の法要を終えて、帰りの汽車の中、
見馴れた車窓の移り行く風景を見るともなく眺めていると、
このルートを老いた両親の世話に通いつづけた日々を
昨日のことのように思い出した。

悦哉の父はその頃は元気で、老人会や老人ホーム、お寺の役職をしていた。
母は五十歳代で子宮癌の手術をし、それが今なら手術ミスだった。
その後、尿管をつなぐ手術や腎臓の手術など、次々に治療する体になってしまった。
何年もの病床生活を送り、ようやく小康を得て家事など出来るようになったが、
もともと体の弱い人だったので、しょっちゅう体調を崩し、寝込んでしまった。
その度に父から呼び出しの電話があって、
私はその頃まだ不便だった乗り物を乗り継いで、三時間近くかけて小郡に通った。

はじめの頃は一泊して帰宅していたが、
年々老いてゆく両親のため二泊になり三泊になった。
その間、夫悦哉は一人暮らしだ。一日二日は私の作りおきした惣菜などを温めたり、
近くのスーパーマーケットからお弁当を買ってきたりして何とかやっていた。
時には文句も出たが、自分の親なので私に対しては「すまないね。」と言ってくれた。

私が三泊して帰って来ると、待ちかねていたようにしゃべり出し、
やっぱり淋しかったのだろうと思うことがしばしばあった。
悦哉はその頃、老後の仕事に労務士事務所を開業していた。
たいして仕事はなかったので、テレビで映画やドラマ、囲碁の対局などを見て、
それをビデオに撮って集めるのが楽しみだった。

私は疲れていて、あまり返事もしないで帰る早々食事の用意などをした。
そんな時、たまたま来ていた子供達から
「お父さん、自分の親の世話をしてもらうのだから、
お母さんを迎えに行くぐらいしたらいいのに。」と言われて、
その後は、高速道路を車を飛ばして一時間程かけて迎えに来てくれるようになった。
夕方来て自分も一泊し、翌日二人で帰って来るようになった。

そのうち母は体の調子が悪く、物忘れなど多く認知症の徴候が出て、
家事どころではないので、妹も仕事をやめて二人で交代でやるようになった。

その上、夫悦哉は、夏になると呼吸困難で入院するようになった。
父は「あんたは看護婦さんのようだね。
こっちに来ても病人、帰ってからも病人がいて。」と言って同情してくれた。

そんな無我夢中で過ごした年月をあれこれと思い出し、
傍らにいる息子に話していると、
息子が「そういうことを書き残してくれたらいいね」と言ったので、
私も何となくそんな気になった。
これは、私のボケ防止のために息子が提案したことかもしれない。
そのことは言わなかったが・・・。