研究・評論 | 空の迷宮
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著 / みや ひさし
- サイズ:四六判(H188xW127mm)
- 製本:ソフトカバー
- ページ数:148ページ
- 発行日:2022年8月22日
- 定価:1,650円(本体1,500円+税10%)
- ISBN:978-4-910118-50-5
内容紹介(一部)
プロローグ
三島由紀夫の一九七〇年十一月二十五日の計画的行動は、周知のとおり明確な意図を表現している。しかしそのあからさまさが、正反解釈の連鎖を派生させる。そしてそれが、文学はもとより彼が関与したさまざまな分野を総和した新たな全体像を創りだす。
(以下略)
1 「仮面の告白」
「仮面の告白」(昭和二十四年四月二十七日擱筆・七月出版)は、「本人」と「作家」の二つの不安定な意識を、不在と誕生の逆説的表現で一元化した小説である。精神的危機の原因と認識されているのは、「見る」精神と「見られる」肉体が、描かれた「現実」と描く主体の「現実」が、同一面上で表と裏がバリアフリーでつながるメビウス性である。
(以下略)