小説 | 佐渡人フオールリッヒター ―国境は津軽海峡、北の大地のケルンたれ―
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著 / 木尾南和史
- サイズ:四六判(H188xW127mm)
- 製本:ソフトカバー
- ページ数:174ページ
- 発行日:2022年9月15日
- 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)
- ISBN:978-4-910118-46-8
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内容紹介(一部)
序
休みということもあり、和樹は紘久を連れて函館山の麓にある喫茶店へ向かった。店には数人の先客がいた。
和樹は四人掛けのテーブルに紘久と向かい合わせで座った。席から窓越しに見える風景は、津軽海峡の海原へ降り注ぐ陽射で眩しかった。公務員である和樹にとって、土曜の午後が最も安らぎを感じる時間である。
(以下略)
(一)豪商人 藤吉
文久二年(一八六二)、小春日和の江戸。
十九となった甚吾は、故郷の佐渡を離れて放浪の旅へ出た。家は、江戸時代初期から造り酒屋を営み、集落【当時の石田(後に、二宮村)字鍛冶町】の豪農であった。
(以下略)