小説 | 亜紀 つぎのはじまり 完結編

書籍画像「亜紀 完結編」

作 / 弓月寛久

  • サイズ:四六判
  • 製本:ハードカバー
  • ページ数:240ページ
  • 発行日:2013年2月28日
  • 価格:1,500円(+消費税)
  • ISBN:978-4-903935-90-4

販売終了しました。

弓月様は他にも書籍を作られています。

内容紹介(一部)

親 友

今から三十年ほど前のこと─

高崎亜依子と水本紀恵はともに、F女子学院高校に在籍する二年生だった。

高校入学時からテニスクラブに籍を置いた二人は、ともに運動神経が抜群で、部においては上級生を圧倒し、自他ともに認める良きライバルとなっていた。

紀恵はテニスを母、綾の手ほどきで小学二年生にやり始め、四年生からは専属のスクールに通っていた。

一方、亜依子は、小学三年生の夏休み時に、近くの公園で社会人のテニスクラブの練習を見てその虜になった。朝早くから夕方近くまでの練習を飽きることなく眺めている亜依子に、一日目は誰も声をかけなかった。近くに住む少女が物珍しさに眺めているだけのことだろう、と思っていたからである。

亜依子は二日目も現れた。昼時になって姿が見えなくなったのは初日と同じだったが、再度現れた時には、なにやら書いているのが、プレイをしている者にもわかった。

コーチの小平由佳里が何を描いているのかと尋ねると、コートでのポジショニングやボールの返球場所、それを捕球出来たか否かを簡単な図に表しているという。

返球によって有利になるのか不利になるのか、稚拙な絵とはいえ、一打一打を丁寧に分析していることに驚いた。

その分析の方法は誰から教わったのかと訊いた。

一瞬、きょとんとした亜依子だったが、自分が遊ぶバドミントンは取り易いように相手に羽根を返すが、今見ているのは逆だと解ったので、どういった状態の時に相手が取れないかが解れば勝てるのではと思って描いたと言った。これには由佳里も舌を巻いてしまった。

智慧のある子だと思った。

テニスをやってみないか? と誘った。一瞬躊躇した少女の心を読んだコーチは、ラケットを買う心配などいらないと言って、初心者用の軽いラケットを貸し与えた。その日はフォアハンドの基本姿勢を教えた。もっと覚えたいのであれば教えてあげると言ったところ、満面の笑みを浮かべて頭を下げた少女は、それから毎朝決まった時間にテニスコートに顔を出した。明るく朗らかで愛らしい笑顔の亜依子は、その日から皆のマスコットになった。

六日目は雨だった。予報では午後から崩れるとのことだったが、早朝から雨足が強かった。窓ガラスをたたく音に、今日はゆっくりと寝ていられると思って寝入った由佳里だった。スケジュール調整をしなければと、遅めの朝食を取っていたときにふと思い出し、慌てて車に飛び乗った。もしやと思いコートに急いで行って見ると、小さな傘が閉ざされた入り口で風雨にさらされていた。

亜依子だった。

約束を守ろうとする純粋な心に由佳里の胸は締め付けられた。

雨脚は弱くなってきていたが、今日は練習にならないので街の映画館で映画を見ようと誘ったところ、昼食時には戻らなければと亜依子は固辞した。何か訳があるなと感じたが、それ以上は訊かずに別れた。

夏休みが終わっても二人の仲は続いた。亜依子は由佳里を慕い、由佳里は亜依子を年の離れた妹のように可愛がった。テニスの指導もそうだったが、勉強も教えた。それは中学卒業まで続けられた。特に英語は、発声から丁寧に教えてあげたので、亜依子は発音記号を見ずとも、知らない単語を発音出来るようになっていた。その甲斐あって、亜依子の中学生活後半ではテニスでは男子生徒でも勝てる者がいなくなっていたし、学業の成績は常にトップクラスだった。高校進学となるときに、既に彼女の生活基盤を知っていた由佳里によって、私立の女子高を、特待生待遇による授業料免除で入学した。紀恵も同じ待遇による入学だった。

二人が入った年のテニス部への新入生は二十名弱だった。ほとんどが中学生からテニスクラブに所属していたが、誰一人として二人の敵ではなかった。先輩であってもレベルが違っていた。

クラブの顧問は、当初から模範と称して二人を対戦させた。紀恵、亜依子、どちらも優劣が付け難かったが、サーブでは紀恵が、レシーブでは亜依子が相手を上回っていた。お互いに入部時点からライバルと認め合う仲だった。

(以下略)

弓月様からいただいた「お客様の声」

迅速、丁寧な回答に不安が払拭されました。
間違いなくお薦め出来る出版会社!

北海道恵庭市 弓月寛久様
―自費出版を行うにあたって、悩んでいたことがありましたか?
  • どの業者にしたらよいのかわかりませんでした。
  • 作品に対し、どの程度のアドバイスを受けられるのかわかりませんでした。
―弊社を知ったきっかけは何でしたか?
  • インターネットで検索して
―弊社を知ってから、弊社で自費出版するまでに、何か躊躇することがありましたか?
  • 不明な点を事前に質問して回答を得ており、また更に不明な点を質問すると迅速で的確な回答を得られましたので、安心して御社に決定することが出来ました。
―弊社で自費出版をしようと決めた一番の理由はなんですか?
  • 御社のウエブサイトの中身が大変解り易く、自費出版に際しどのようなことがネックになるのか、概ね理解出来たことで安心を得られました。
  • 御社を利用して自費出版された方々のアンケートもサイトに掲載されており、参考になりました。
  • 田崎明美さまの写真集『フィオレッタ』誕生までのいきさつを読ませて頂いて、ここまで親身になってくれる会社であれば信頼できると感じました。
  • 質問3の回答と同じですが、こちらの質問に迅速、丁寧なご回答を頂き不安が払拭されたことの4点です。
―実際に弊社で自費出版してみていかがでしたか?
  • 御社アンケートに多くの皆さんがご回答なされていらっしゃるように、私としても大いに満足致しております。
  • 最初に『出会い編』の原稿を送った時に、『長過ぎです。13万文字まで削減して下さい』と指導され、12万文字台まで削って、これでOKだろうと高を括っておりましたら、返却された原稿には、『不要では?』『削除もしくはもっと短く』の朱文字がいたるところに踊っておりました。『情景を説明すればするほど、読者は理解出来なくなる』三浦社長さま自ら編集のご担当をして頂き、小説を書く根本を教わりました。半年後に出版した『完結編』では要領を得て、『ここは、また指摘されるな』とタタキ台の原稿を送る際に自分なりに推敲していたところは、やはりご指摘を受け、少しはものになってきたかな、との思いを抱くところまで来ました。結果、知人やその友人の方々からは、『出会い編』よりも『完結編』のほうが展開が早くてとても面白かった、と好評を得た次第です。
  • 『出会い編』『完結編』とも、『書店流通コース』『アマゾン販売コース』『電子書籍出版サービスコース』のオプションを付けさせて頂きました。先日、ある地方の図書館の蔵書リストに『出会い編』が記載されているのを見て、嬉しく思いました。
  • 但し、書店流通コースは書店側に選択権があり、了承を得たものでないと受け入れて貰えないことが後から判明致しました。これが御社との唯一のコミュニケーション不足と認識し、私の反省材料となっています。
―再度、自費出版するとしたら、このようなサービス、このような商品があったらいいと思うものがありますか?
また、弊社へのご要望等ありましたらご自由にお書きください。
  • 書店流通コース利用の際には、紀伊国屋でも他の書店でもどこでも宜しいのですが、希望する冊数を全国の希望する書店に置いて頂けるようなシステムを構築して頂けたら良いと思います。
  • 三浦社長さまには1年2か月の長期間に渡り迅速にして丁寧な、そして誠意あるご指導を賜りましたことの御礼を、自費出版でもあり処女作品でもありましたことから、本来なら小説に『あとがき』は設けない慣習のなか、『完結編』巻末にて述べさせて頂きました。叱咤激励を受けながら、『出会い編』『完結編』を出版出来ましたことは、『小説の書き方教室』などを受講する以上の生きた知識、或いは出版界の内情を知ることが出来たのではないか、と思われます。他のジャンルはわかりませんが、小説部門での出版をお考えの皆様には、間違いなくお薦め出来る出版会社だと思われます。(勿論、自費出版ですから誤字・脱字のチェックは自分の責任範囲内で行なわなければなりません)

※弓月様にアンケートをお願いしましたところ、手書きのアンケート用紙ではなく、メールにてご回答をいただきました。

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