印刷の基礎知識

印刷方式について

印刷の仕方は、刷版の構造によって、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷などに大別されます。オフセット印刷は、平版印刷の代表的なものです。

  • [凸版印刷]

    凸版印刷は、版材の表面を削り、残された凸状の部分にインクをつけて印刷する方法です。印鑑と同じ原理だと考えるとわかりやすいでしょう。印刷の際、版を紙に強く圧力をかけて転写するため、文字や絵の輪郭がはっきりとした力強い仕上がりになるのが特徴です。凸版印刷は、最も古い印刷手法として、長い間文字印刷の中心となってきました。しかし、製版工程に手間や時間がかかるため、近年の印刷技術の発達とともに衰退し、現在ではあまり使われなくなっています。

  • [凹版印刷]

    凹版印刷では、凸版印刷とは逆に、印刷したい文字や絵柄の部分が凹状になった版を使います。版のくぼみにインクが入るように版全体にインクを付け、特殊な装置で余分なインクを掻き落とし、くぼみのインクだけを残して印刷します。凹版印刷は、くぼみの深さによってインクの量が増減できるため、精巧で美しい印刷ができるのが特徴です。濃淡の微妙な変化を表現できるので、写真ページなどの印刷によく利用され、グラビア印刷とも呼ばれています。

  • [平版印刷]

    平版印刷は、文字通り、表面が平な刷版を使った印刷手法です。凸版印刷や凹版印刷では、版を削って表面に凸凹を付け、そこにインクを載せて転写しますが、平版印刷は、版に特殊な加工を施して、インクが付く部分(画線部)と付かない部分(非画線部)を作り印刷します。版を削る必要がないため、作業がスピーディーでコストも安く抑えられることから、長い間文字印刷の中心だった凸版印刷に代わり、70年代以降は平版印刷が主流を占めるようになりました。現在、出版物のほとんどは、平版方式のオフセット印刷が用いられています。

オフセット印刷の特徴

オフセット印刷の大きな特徴は、平版を直接紙に当てて刷るのではなく、一旦ブランケットと呼ばれるゴムのローラーに転写し、それをさらに紙に印刷する点です。ちなみに、オフセット印刷(offset printing)という名前は、印刷版に付いたインキをいったんはがして(オフ=0ff)ブランケットに移し、これをこれを紙に転写(セット=set)させることに由来しています。

オフセット印刷の流れ

オフセット印刷では、原稿から製版フィルムを作り、そのフィルムをアルミ版に焼き付けて刷版を作るフィルム製版という方法とフィルムを作らずにデジタルデータから直接版を作るダイレクト製版という方法があります。フィルム製版は、写真が多い時やクオリティを重視したい場合に適しています。一方、ダイレクト製版は、工程が簡略化される分コストは安くつきますが、フィルム製版に比べると写真の出来上がりなどは多少落ちます。

メリットとデメリット

オフセット印刷のメリットのひとつは、紙との密着度が高いため、絵や写真、文字の細部まで鮮明に表現でき、クオリティーの高い仕上がりになる点です。特に、多色刷りの場合にその威力を発揮します。コート紙、マット紙、上質紙、厚紙から和紙などの特殊紙までどんな素材にも対応できるのもオフセット印刷の優れた点です。また、平版に直接紙が触れないため耐久性が高いことや印刷スピードが早いのも利点です。ただし、オフセット印刷では、部数に関係なく刷版が必要となるため、少部数だと割高になってしまいます。

オフセット印刷は、大部数になるほどコストが安くなりますので、「自費出版の会」では300部を超える出版をお考えの方にお薦めしております。

オンデマンド印刷とは

オンデマンド印刷は、デジタル技術の進歩によって生まれた印刷方式で、IT時代のニーズに対応するまったく新しい印刷技術として注目されています。オンデマンド(On Demand)とは、文字通り「要求に応じて」という意味で、「必要なものを、必要なだけ、必要なときに」印刷するシステムです。オンデマンド印刷の仕組みを簡単にいうと、パソコンで作ったデータをプリンタで印刷するのと同じ原理です。たとえば、会議で使う資料をパソコンで作成し、人数分だけプリンターで印刷し、それを綴じて配るようなものと考えるとわかりやすいでしょう。オンデマンド印刷は、コンピュータのデータを直接利用するので、オフセット印刷のような刷版の必要がありません。そのため、一冊でも100冊でも、一冊のコストはあまり変わりません。オンデマンド印刷は、従来の印刷技法とは逆に、少部数であるほど強みを発揮する印刷技術なのです。もちろん、家庭用のプリンタよりずっと高性能なデジタル印刷機を使うので、印字の品質もオフセット印刷と遜色ありません。

オンデマンド印刷の特徴

オンデマンド印刷は、デジタルデータを直接デジタル印刷機に送り込む無版印刷です。オフセット印刷のように、フィルム製版、版刷という工程がなくなるため、納期が大幅に短縮されるばかりでなく、各工程に伴うエネルギー・薬品等の使用が削減されることになります。また、大量に在庫を抱え込むことがなく、廃棄物の削減にもつながります。つまり、オンデマンド印刷は、環境にやさしく、コスト削減も実現できる印刷技法といえます。

  • [オフセット印刷の流れ]

    原稿→データ化→校正→フィルム製版→刷版→印刷製本→納品

  • [オンデマンド印刷の流れ]

    原稿→データ化→校正→印刷製本→納品

メリットとデメリット

オンデマンド印刷の最大のメリットは、一冊単位でスピーディーに本の制作ができる点です。製版や刷版などの工程がないため、発注から納品までのスケジュールが短縮されるばかりでなく、100部以下なら低コストでできるのも魅力です。必要に応じて増刷もできるので、友人や知人に配るために数冊あればいいという方には、まさにうってつけの印刷方式といえるでしょう。また、データを直接印刷するので、訂正や改訂に対応しやすいのも利点です。少部数の印刷が低価格で手軽にできる反面、100〜200部以上になるとコスト的なメリットはなくなってきます。また、写真集など、特に美しい写真を使用する場合、オフセット印刷ほどのクオリティは望めません。(ただし、オンデマンド印刷でも、十分きれいですが)。

オンデマンド印刷でできる本

基本的にどのような本も制作可能です。

製本 並製本(ソフトカバー)、上製本(ハードカバー)
綴じ 無線綴じ、中綴じ
本のサイズ 基本的に以下のサイズであれば、縦でも横でも製作可能です。

A6
(123mm×185mm 文庫本サイズ 詩集、エッセイなどに)
四六
(128mm×188mm 通常の単行本サイズ 自分史、小説、エッセイ、句集、歌集など最もポピュラーに利用されています)
B6
(128mm×182mm B5の半分のサイズ 小説、エッセイなどに)
B5
(151mm×225mm 週刊誌サイズ。 社史、写真集、マニュアル、図版の入った学術専門書などに)
A5
(148mm×210mm A4の半分のサイズ ビジネス書、学術専門書、句集、歌集、写真集、紀行集、文芸誌などに)
A4
(210mm×297mm 通常の書類サイズ 画集、写真集、絵本、記念誌などに)
※「自費出版の会」では、これ以外のサイズでもお作りいたします。お気軽にご相談ください。
製作部数 「自費出版の会」では最低部数10冊からの出版(編集含む)を承っております。増刷時は1冊単位での印刷も可能です。くわしくは、お問い合わせください。

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