歴史研究書 | 大島御規模帳から見る奄美近世史

書籍画像「大島御規模帳から見る奄美近世史」

著 / 箕輪 優

  • サイズ:A5判(W148XH210mm)
  • 製本:ハードカバー
  • ページ数:412ページ
  • 発行日:2021年11月30日
  • 定価:3,850円(本体3,500円+税10%)
  • ISBN:978-4-910118-22-2
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内容紹介(一部)

はじめに

慶長十四年(一六〇九)三月、薩摩藩島津氏は琉球王国を侵略した。その目的は二つ考えられる。一つは領土的・経済的野心に基づく奄美諸島の奪取であり、いま一つは琉球王国が中国(明)との間で行っていた朝貢・接貢貿易権益の支配である。それ以後琉球王国は、那覇に設けられた「琉球在番奉行」の監視・監督のもとに置かれて間接統治を受けることになった。一方薩摩藩は、琉球王国の対中国朝貢・接貢貿易の黒幕的存在であることを対外的に隠蔽するために、奄美諸島については表向き「琉球国之内」とし、実際は奉行(後に代官)を派遣して直轄統治を行い、新たな植民地としての支配を徐々に強化していった。そのことによって、奄美諸島は薩摩藩による収奪の地として、明治維新を迎えるまで苦難の二百六十年間を過ごさねばならなかった。

(以下略)

あとがき

奄美の歴史を知る上で欠かせない史料の一つに「大島御規模帳」がある。奄美諸島内の各『自治体誌』の藩政時代の項目には「大島御規模帳」からの引用が少なくない。それほど「大島御規模帳」の存在は大きい。

「大島御規模帳」は、今から約三百年前の享保十三年(一七二八)十二月十五日、薩摩藩庁から大島代官宛に仰渡された道之島統治のための実用書(法令集)である。書かれた年代の古さは勿論のこと、日本の南西端にあって、対徳川幕府・対琉球王府などとは極めて微妙な政治的・経済的位置関係を有する薩摩藩から出された法令であり、しかも対象地域がかつての琉球王国から割き取った奄美諸島である。そのような特殊な歴史的背景を十分に熟知した上でないと、古記録でもある「大島御規模帳」の条文一条〳〵を読み解き、かつ現代語に意訳することはなかなか困難な作業であった。従って、小著における「大島御規模帳」及びその他「規模帳」の現代語意訳は、断案ではなく、あくまでも筆者個人の一つの私案(或いは試案)であることを読者の皆様方にご了解して頂ければ筆者としては非常に有難い。

(以下略)

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