詩集 | 眠れる森の少女人形

書籍画像「眠れる森の少女人形」

著 / 濱手くらら

  • サイズ:A6判(文庫判)
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:108ページ
  • 発行日:2010年2月14日
  • 価格:600円(+消費税)
  • ISBN:978-4-903935-21-8

ご好評につき、完売いたしました。

内容紹介(一部)

金木犀

夕暮れ時の冷たい雨だった。
私は赤い傘を差して立ち止まり
地面に落ちている哀しい星屑を
無心に見つめた。

扉を開ければ
金木犀の仄かに漂う甘い香りが
私を迎え入れるように
優しく包み込んでくれたのです。
私は金木犀に「行ってきます。」と言って
秋風と一緒に出掛けて行きました。
短い間だったけど私は嬉しかったのです。

夜になっても冷たい長雨は続き
地上の美しい星屑はキラキラと
暗闇の雨の中でそのまま静止している。

水たまりのメルヘン世界

雨上がりになっても
私の心はやっぱり灰色。
雲が割れて爽やかな
微笑みの光が零れ落ちても
私は何故か拾い損ねて
また雨を降らそうとする。
一つの大きな水たまりを覗いてみると
透き通ったもう一人の自分が居る。
透き通った人々や動物が歩いている。
透き通った花や草木が揺れている。
そして透き通ったもう一つの空が見える。
吸い込まれて行く涙に誘われて
もう一度、雨が降る事を想いながら
私は水たまりに映るメルヘン世界に
足を踏み入れた。

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