画文集 | 画家が「残像のかなた」に求めたもの ―久米庸江画文集―
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絵/久米庸江 文/鈴木積
内容紹介(一部)
まえがき
画文集と言えば、紀行文とか随筆などにスケッチを添えたり、逆に絵を主体にしてそれに説明を加えたり、作業は一人で行なっていることが多いと思うが、この本では絵と文を二人で分担している。あくまでも絵が主体だが、文が画家の紹介にとどまらず、時として評論の分野に踏み込むようなことがある。無名の女流作家にスポットライトを当てることが最大の目標のはずなのに、これはどういうことだろう。
(以下略)
あとがき
ほぼ脱稿して、業者との交渉にはいったとき、私は時間の感覚を喪失していた。もっと長い年月が経っていたかのような感覚でいたのに、実際の時間は約一年しか経っていなかったことに気づいたのであった。時間を忘れて没頭していたということだろうが、出来上がった文章部はご覧のとおり、庸江本人には直接関係のないおしゃべりが多くなっていた。私の頭の回転の歯車が自分本位に動いてしまった結果の、いわば付録のようなものである。文章部作成の苦労話などは封印し、妹のための画集作りという原点に戻らねばと思った。
(以下略)