自分史 | 成り上がり人生
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著 / 今橋聡二郎
- サイズ:四六判(H188xW127mm)
- 製本:ハードカバー
- ページ数:212ページ
- 発行日:2024年10月17日
内容紹介(一部)
「はじめに」に代えて―自分史を書き始めた理由
「俺、最近記憶が段々薄れて来て、呆けるのかも。そうなる前に子供の頃からお前と一緒になるまでの事を書いてみようと思うんだ」そう言うと、「お父さんの事は昔、お母さんから聞いて知っているけど、良いじゃない。出来たら本にしようよ」と喜んでくれた。
こんな事から自分史を書き始めた。あまり誇れる事ではないのでちょっと躊躇したが、ひと月位過ぎた頃、「ねえ、今どの位書けた?」と聞いてくる。
(以下略)
記憶の始まり
「行ってきまーす」
いつものように私は、大きなアルマイトの弁当箱を持って、いつもの鉄くず置き場で弁当箱を開き、片方へ寄ったご飯を食べる。もちろん麦飯である。時々、サツマイモと米を一緒に炊いたご飯の時もあり、甘くておいしかった。食べ終えると、紐付の布袋に弁当箱を入れて首に下げ、鉄くずの山の中から兵隊さんの鉄兜を探し出し、それを被って「母ちゃん、ただいまー」と言いながら帰るのである。すると母ちゃんはいつも「すごいねー」と言い、私は自分が強くなったような気がした。
(以下略)