家族史 | 妻 明子よ

書籍画像「妻 明子よ」

著 / 住本 勝

  • サイズ:A5判
  • 製本:ハードカバー
  • ページ数:52ページ
  • 発行日:2020年9月4日

内容紹介(一部)

明子よ Ⅰ (感謝と詫びをこめて)

もうすぐ一周忌がくる。あっという間だった。今迄何をしたのだろう。先ず毎日三度の食事をすることで頭が一杯になり、何か余裕を失ってしまった。ヘルパーや宅配弁当、外食を組合せ何とかしのいできたが、未だにまだ日々のパターンが決まっていないその日暮らしである。女というものは大したものだ。こんなことを文句も言わずに毎日三度やっていたのだ。今までこんなことに神経を使ったことは一度もなかった。明子よ、亡くなって初めて気がついた。ありがとう、すまなかった。

(以下略)

世話女房

明子程の世話女房はあまりいないと思う。先づ食事である。食べ物にだけは金を惜しまず、私の体に気を使ってくれた。私が長生きできたのは、おかあちゃんの餌が良かったからといつも礼を言った。梅干しが良いと言って、毎年大変な重労働をして自分で作り二年分程蓄え、いまだに毎日のように食べている。

(以下略)

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